藤岡啓介の翻訳玉手箱
公開講座 プロになるぞ!! 第4期
番外編
ウィルキー・コリンズ作『死者は生きていた』 の第4章が終り、今回から新しいお弟子さんを迎えて「第5章」が始まるのですが、「巻頭エッセー」の課題解題がたまっていました。「迎える言葉」を含めて、次回11月8日号で講座を再開します。赤いくつさん、カルメンさん、ご免なさい。 課題訳だけですが、「番外編」で全文を掲げます。読者のみなさん、第5章text:30から課題の分量が倍になっています。少し話のテンポを早くします。【text】をクリックするとテキスト全文が現われます。
みなさん、ノンフィクションの方が得意なのかな? 巻頭エッセーの回答
8月16日号の話は電話の発明家ベルの話でした。助手のワトソンを相手にした実験で、「どんな種類の音だって伝えられるはずだ、if we could only occasion a variation in the intensity of an electric current exactly like that occurring in the density of the air while a given sound is made.」とベルが叫んだということで、課題は従属文ですね。翻訳をしていて原著者が引用句辞典や実話にある言葉を引用するときがあります。文法的にいう主文は自分の言葉で書き従属文を引用するという形ですね。翻訳者なら、とくにノンフィクションの分野では、みなさんこれまでに何度も遭遇しているでしょう。
――うまいぐあいに電流の強さに変化を起こさせれば、そうなんだ、なんらかの音が発生すると、その間に空気の密度が変化するんだが、それと同じ変化を電流に発生させられればいいんだ(どんな種類の音だって伝えられるはずだ)、
「等価等量」の翻訳を主張する『工業英語』誌の藤岡創刊編集長の訳文にしては、少し文字が多くなっていますが、引用は「会話文」のはずです。「そうなんだ」「その間に」など、小さな言葉を加えると、話し言葉の引用になりますね。砕いても「電流の強さ」「空気の密度」「電流を発生」などはきちんと対応させておかなければなりません。
さて、回答は? みなさん上手に訳していますね。翻訳者にはノンフィクション志望の方が多いと聞いていますが、たしかにその傾向がありますね。小説家の文章は「事実を伝える」よりも、「事実を読者の感性に訴える」方ですね。ぼくのいう「小辞」や句読点で文章をまとめているのです。
そうだな、今連載中の公開講座、コリンズが終わったら、あの伝記作家の嚆矢、サミュエル・スマイルズの「技術者列伝」でも取り上げようかな。これ、やればコリンズの『死者は生きていた』同様、本邦初訳になるな。まてよ、コリンズの『死者は生きていた』は実際にあった冤罪事件の記録に基づいているんじゃなかったかな? 「実話」の視点で『死者は生きていた』を読むべきかな。
閑話休題(あだしごとはさておきつ):
みゅうの母さん:
――任意の音を立てている間に空気の密度に何が起こっているか、それを電流の強さの変化で正確に再現できさえすれば
藤岡コメント:
givenが難しい。ぼくが編纂した『工業英語 語群辞典』では、「与えられた、既知の、特定の、任意の」という対応語がありますが、論理学の「所与の」という古い言葉が語感からいっていちばん適切かもしれないな。でも、つまらない。藤岡訳では「うまいぐあいに」「なんらかの」と砕いておきました。
みゅうの母さん、どうかしら、この藤岡説。お猫のミュウちゃんにご意見を聞いてみてください。うちのチャコ会長は「もっともだニャ」といっています。
ネスさん:
――ある特定の音が発生したとき、空気の密度が変化するが、電流の強度をそれにぴったり合わせて変化させられさえすればね。
藤岡コメント:
ネスさんも、常連といえば常連なんだけど、したがって、訳文はそつがなく上手なんだけど、今回の訳文は流れていないな。「……変化するが、……変化させられさえすればね」、 論理が強すぎるのかも。
モーモーさん:
――音が出るときの空気の密度の変化と同様な、電流の強さの変化を起こすことさえできればいいんだ。
藤岡コメント:
もうたくさんだったのかな、givenが抜けている。「……同様な、」とあるけど、読点がおかしいな。読み手が考え直すことになる。
ぱんみみさん:
――音で空気密度が変わるのとまったく同じように、電流の強さに変化をもたらすことができたらなあ。
藤岡コメント:
どこか変だな。やはりgivenを生かすことで苦心した方が文意が通るな。
うききさん:
――もし電流の強さを変化させることさえできれば。所与の音が発せられている間その空気密度において生じる変化と、全く同じようにね。
藤岡コメント:
whileが生かされたのは万歳だけど、流れが悪いや。藤岡評語でいえば「要再考」。
applepieさん、図書券だ!
applepieさん:
――ある特定の音が出るとき、空気の密度に変動が起こるが、それと全く同じ変動を電流に起こすことさえできれば。
藤岡コメント:
「ある特定」で、どうかな、もう30分考えれば名訳だった。「変動」は「変化」の方だ、でも、そこまでおねだりするのは無理かな、短文で用語が決まらないと落第だけど、その前の読解力の方がもっと重要。少し甘いけど、「起こすことさえできれば」の「さえ」が冴えたな、図書券だ!
ヨシノスケさん:
――ある音が出されたとき空気密度の中に生じる変化と全く同様の変化を、電流の強度に生じさせることさえできればいいのだ。
藤岡コメント:
なんとか及第かな。まだノンフィクションの翻訳者じゃないな。好きな魚釣りにでも行くんだな、翻訳の言葉も、川に流れているよ、きっと。
ここまで評してきたら、ヨシノスケさんの「勉強」がありました。
――今ではあるのが当たり前の電話が、発明当初はベルもエリシア・グレイも『せいぜいオモチャとして使える程度の物』としか思っていなかったとは面白いです。現在の電話の普及率、公衆電話や携帯電話について知ったら、グレイはどのように思うでしょう。もっと早く特許を申請すれば良かったと悔やむでしょうか。それとも、自分の名誉など考えず、ただ便利な物を作る手助けができたことを喜ぶのでしょうか。ぜひとも聞いてみたいものです。(ヨシノスケ)
仮定法とは言い得て妙な「法」ですね、9月13日号
あの自動車のヘンリー・フォードの言葉。泉下で仲良しだったエジソンと、こんな会話をしてるかな、といった文章での引用でしたが……。
subjunctive(仮定法)という言葉は近代になってから英文法の用語として作られたといいます。英語でも、この言葉はラテン語からもらってきたもので、18、9世紀になって近代的な英語教育の必要から体系づけられてきたものといいます。ぼくは、中学に入って日本語の文法を学んだのですが、どうにも理解しがたいもので(教師も悪かったな、彼、後になって反省していたっけ)、それが英文法を知るようになってくると、助詞は英語でいえば後置詞なのか、日本語には単数複数の概念がない、あっても名詞の語尾でごまかすようなことはない、主語ってお天気にも要るんだ、などなど、いろいろと自分の言葉で理解できるようになったのですが、「仮定法」で、if I wereなどの文例が出てくると、こりゃ便法だな、と仮定していました。だいたいが『ソクラテスの弁明』(クリトン)も知らず、弁証法という論理論証の方法を知らないのだから、いいかげんな理解でした。もしも彼女が、これはあり得ないことだが)ぼくを好いてくれるならば、もしも、ぼくの成績がこのままの状態でいいならば、などなど、これがぼくの仮定法だったな。
高校生になると、「仮定法の時制」が現れた。三人称単数の語尾に“-s”の変化がない、未来は人称にかかわらず無意志には“should”、有意志には “would”を用いる。ただし“to be”の仮定法だけは直接法と全然異なった形を持つ、などという個所では赤鉛筆で下線を引き、難しいことをいうな、でもさ、……なら、……しなければ、……すれば、ということなんだよな、仮定法過去完了、もあった。(文法書では最近復刊された山崎貞、研究社『新自修英文典』が詳しいな。)
という按配で、やっと課題文にきました。
――The car that I designed was lighter than any car that had yet been made. It would have been lighter had I known how to make it.”
さて、みなさんどう訳しているかな。「過去の事実に反対をするのに用いられる」のが仮定法過去完了。
――わたしが設計した車は、これまで作られていたどの車よりずっと軽かった。もしもっと軽量にする方法が分かっていたら、きっとそうしただろうけど、残念だった。
「残念」を強調して訳すと、上のようになりますね。漢語「軽量」を二回使う文章ではないな。
うききさん:
――私が設計した車は、これまでに生産されたどの車よりも軽量だった。もし私がその作り方を知っていれば、もっと軽量な車になっていただろうに。
藤岡コメント:
makeはmanufactureと同義だと言われますが、後者は大規模生産の意を持ちます。うききさん、上手に翻訳しているけど「make=生産する」は「作る」でよかったな。
Claireさん:
――私のデザインした車は、今までに作られたどんな車よりも軽かった。やり方さえわかれば、もっと軽くしていただろう。
藤岡コメント:
ほら、いったでしょ。仮定法過去完了は「無念、残念」なんだ。
milkaさん:
――ぼくが設計した車は、それまでに作られたどの車よりも軽かったんだ。自分で作れたら、もっと軽いものができただろうな。
藤岡コメント:
意味を取り違えているな。「残念ながら、あれ以上軽くする方法が分からなかった」という意味を捉まえておかなければ。
ヨシノスケさん:
――私が設計した車は、それまで作られたどの車よりも軽かった。作り方さえ知っていたら、もっと軽い車を作っただろう。
藤岡コメント:
そうそう、この調子。でも「事実の反対、残念ながら」が出ていない。
ちょっと砕けた話法だけど、モーモーさんに図書券だ!
モーモーさん:
――わたしが設計した車は、それまでのどの車より軽かったんですよ。作り方さえ知ってたら、もっと軽くしたんですがねえ。
藤岡コメント:
最後の「……ですがねえ」で、「残念」を表したね、ちょっと話法に品がなかったけど、モーモーさんに図書券だ!
ウィルキー・コリンズ作『死者は生きていた』
第5章、text:31の課題訳
――今回は課題訳だけの掲載です。text:30を呼びだして、それぞれに自分の訳文を工夫してください。句読点を含めて、かな、漢字、表記のひとつひとつに自分らしさが出るように、しっかりと訳出しておいて、次回の課題解題を読んでください。(藤岡記)
赤いくつ訳:
第五章 ナラビーからの知らせ その1
庭まで戻ったところで、わたしははっとした。アンブローズは話しぶりも明るく、屈託がなかった。ということはつまり、彼はまだわたしの窓の下で起こった言い争いのことを知らないのだ。サイラスはステッキを持ち出したのは自分だったと白状するかもしれない。ついでにそれでだれの頭を殴ろうとしたかも明かすかもしれない。アンブローズに口論のことを知られても何の得にもならないし、それどころか不都合だ。わたしは厩舎にひき返した。ゲートに人影はなかった。サイラスとアンブローズの名をそれぞれ呼んでみたが、返事はなかった。二人とも、仕事場に行ってしまったのだろう。
庭に戻る途中、気持ちのいい声に「おはようございます」と呼びかけられた。あたりを見まわすと、ナオミ・コールブルックが一階の窓辺に立っていた。彼女は作業用の前かけをして古めかしい研ぎ台に向かい、朝食の食卓でつかうナイフをせっせと研いでいた。毛並みのいい黒猫が彼女の肩にちょこんと乗っかり、ナイフがきらっ、きらっと光るのを見つめていた。ナオミは研ぎ台に貼られた革の上で、ナイフをすばやく前後に動かしていた。
「こっちにいらして」彼女は言った。「お話があるの」
近づいてゆくと、ナオミの可愛らしい顔が不安げに曇っているのが見てとれた。彼女はいらだたたしそうに猫を肩から追いはらうと、いつものほがらかな笑顔のほんのわずかな片鱗をみせてわたしを迎えた。
「ジョン・ジェイゴに会ったのよ」彼女は言った。「けさ、あなたの寝室の窓の下で何かあったみたいで、そのことを遠回しに何度も匂わすの。詳しく話してほしいとお願いしても、『ミスター・ルフランクに聞いてくれ、わたしはナラビーに向かわなくては』としか言ってくれなくて。いったい何があったんです? どうか教えてください。気になってしょうがなくて、もう辛抱できないわ」
ナオミが相手なのでずいぶん気合いが入ったが、わたしは寝室の窓の下で起こったことを、ここに記したようにできるだけ簡潔に伝えた。ナオミは研ぎ途中のナイフを置くと、胸の前で両手を組み合わせて考えこんだ。
「ジョン・ジェイゴと二人きりで会ったりするんじゃなかった」彼女は言った。「女性が男性の頼みごとに『はい』って答えると、たいがい後悔することになるようね」
ナオミは困惑しきった表情で、この彼女らしくない意見を漏らした。月夜の密談が、不愉快な記憶となって心につかえているにちがいない。わたしははっきりと確信した。
ジョン・ジェイゴはナオミに何と言ったのだろう? 配慮に配慮をかさね、あらかじめ失礼を詫びてからわたしは問うた。
「ええ、あなたに話してしまいたいわ」彼女は「あなた」という言葉に力をこめて話し出した。
ところがナオミはここで口をつぐみ、さっと青ざめた。そうかと思うと、今度は一気にまっ赤になった。彼女はナイフを再び手にとり、一心不乱に研ぎはじめた。
「話すわけにはいかないわ」彼女は口を開いた。顔はうつむき、ナイフを見おろしている。「だれにも言わないと約束したんだもの。ええ、そうよ。どうかこのことは、さっさと忘れてしまってくださいな。しいっ、静かに! スパイのお出ましよ。昨日の晩、わたしとジョンの散歩を見張っていて、サイラスに告げ口した張本人が来たわ!」
むっつり顔のミス・メドウクロフトが台所のドアを開けた。彼女は仰々しいほどに巨大な祈祷書を抱えていた。そして、中年のねたみ深い女性が、自分よりも若くきれいな女性に対して向ける視線でナオミを見た。
「お祈りの時間です、ミス・コールブルック」彼女はじつに苦々しそうに言った。それから立ち止まり、窓の外にわたしが立っているのに気づいた。「お祈りの時間です、ミスター・ルフランク」心から哀れみを感じるといいたげな視線をまっすぐわたしに向けて、彼女は言い添えた。
カルメン訳:
第五章 ナラビーからの知らせ その1
庭にやってきたところで、わたしははたと気がついた。アンブローズの陽気な話しぶりとくつろいだ様子からして、窓の下で起こった喧嘩のことは、まだ彼は何も知らないのだと。だが、ひょっとするとサイラスが、アンブローズのステッキを持ち出したことをうちあけ、そのステッキで誰の頭を打とうとしたのかを話すかもしれない。アンブローズが喧嘩のことを知る必要はないし、知らないほうがいい。わたしは厩舎へ引き返した。ゲートには誰もいなかった。サイラスとアンブローズの名前を交互に呼んでみた。返事はなかった。ふたりは仕事に行ってしまったのだ。
庭にもどると、「おはよう」というさわやかな声が聞こえた。わたしはあたりを見回した。農場の低い窓のひとつからナオミ・コールブルックの立っている姿が見えた。ナオミは作業用のエプロンをつけ、古めかしいテーブルの上で朝食用のナイフをせっせっと磨いていた。肩の上には毛並みのよい黒猫がちょこんと乗っかり、革張りのテーブルの上をナイフがせわしなく行き交うたび、刃がきらりと光るのを見つめていた。
「こちらにいらして」ナオミが言った。「お話したいことがあるの」
近づくにつれ、ナオミの美しい顔が曇っていて、心配そうな表情をしていることにわたしは気づいた。ナオミは苛立ちながら肩から猫を追い払った。だが、わたしにはいつもの明るい笑顔をかすかに見せた。
「ジョン・ジェイゴとさっき会ったわ。はっきりとは言わなかったけど、今朝あなたの部屋の窓の下でちょっとしたことが起こったそうね。何が起きたのか説明してほしいと彼に頼んだら、『ミスター・レフランクに聞いてください。わたしはナラビーに行かなくてはなりません』ということしか言わないの。どういうことなの? すぐに教えてください。もう我慢の限界だわ!」
わたしは窓の下で起こったことをありのままにナオミに話した。といっても、なるべく悪く言わず、精一杯よく見えるように伝えた。彼女は磨いていたナイフをテーブルに置き、腕組みをして考えた。
「昨日の夜、ジョン・ジェイゴとあんなふうに会わなければよかった。女は、男から頼みごとをされて、承諾してしまうと、たいてい後悔するものなのね。よくわかったわ」
ナオミは意味ありげな言い方をして、眉をひそめた。あの月夜の密会が心の中に好ましからぬ記憶を残したのだろう。ナオミの様子からはっきりわかった。
ジョン・ジェイゴは何を話したのだろうか? わたしはできる限り慎重に、前もってお詫びをしてから、そのことを訊いてみた。
「あなたにはお話したいわ」と、〝あなた〟に力をこめてナオミは言った。
そこで口をつぐみ、ナオミの顔が青ざめた。だが、突然この上もなく真っ赤になった。するとナオミは再びナイフを手に取り、前と同じようにせっせと磨きはじめた。
「でも、話すことはできません」ナイフのほうへこうべを垂れて、また口を開いた。「誰にも話さないと約束したから。そういうことなんです。できるだけすぐに全て忘れてください。しっ! 昨夜歩いていたわたしたちを見て、サイラスに教えたスパイが来たわ!」
陰鬱なミス・メドウクロフトが台所の扉を開けた。目を見張るほど大きな祈祷書を持っていた。嫉妬深い中年女が自分より若く美しい娘を見るとき特有のまなざしでナオミを見た。
「お祈りの時間よ、ミス・コールブルック」と、とげとげしく言った。足を止めると、わたしが窓の外に立っているのに気づき、わたしにも声をかけた。「お祈りの時間です、ミスター・レフランク」わたしのほうにはもっぱら、心底哀れみを込めた視線が投げかけられた。
―― 「わたしの新訳」に挑戦しましょう ――
本誌は「翻訳者の登竜門」です。読者の皆さんの翻訳作品を「わたしの新訳」欄に積極的に推薦します。条件は「本誌の読者」であること。この「公開講座 プロになるぞ!」をはじめとして、「翻訳勝ち抜き道場」を担当されている斎藤静代さんや新しく「入門翻訳勝ち抜き道場」を担当される藤田優里子さん、「部屋」をもたれている原田勝さん、岩坂彰さんの愛読者・講座登録者が、「私の翻訳を読んでほしい」と希望されれば、本講座の藤岡先生が原文・翻訳を読み、一応のレベルに達していると判断したら(あるいは何回かダメをだして改訂をしてもらってから)本誌の編集部に推薦して、掲載を依頼します。条件は、あなたが新人で、これまで公けの媒体に翻訳を発表したことのない人(原稿料・翻訳料をもらった経験のない人)。翻訳する作品は、版権がない(原則没後50年たった)英米作家の文芸作品で、短編小説かエッセイ。サキ、O・ヘンリー、ビアスなどの短篇作家には、新しい翻訳が望まれていますよ。ハーディーやD.Hロレンスにも短編があります。
応募を受けて推薦しない場合、その旨を伝えします。
手をつけている作品がありますか? 新刊の版権フリー本だけが市場ではありませんよ。編集部宛てに「自己紹介」と翻訳する作者(作品)を教えてください。手順を案内します。
英語圏以外の知られざる作品も
ドイツ語翻訳者のたかおまゆみさんの『ヤギ飼い少年 モニ』は、ヨハンナ・シュピリの隠れた名作です。「隠れた」というのは、『ハイジ』に隠れて、あまり一般には知られていない、といった意味ですが、そういった、英語以外の古典新訳も受け付けています。あなただけのとっておきの名作を発表しませんか?藤岡先生が的確なコメントとアドバイスをくださいます。藤岡先生によるフィードバックの一部をご紹介します。これから挑戦されることを検討していらっしゃるみなさま、参考にしてください!
藤岡先生コメント(抜粋)
- 提出していただいた翻訳は、翻訳コンテストでは優秀作でしょうが、でも、これを翻訳者が実名で発表するとなると、もうひと工夫ふた工夫がほしくなります。登竜門への挑戦です。頑張りましょう。
- (藤岡先生の)参考訳をよくごらんください。翻訳しながら悩んだこと、迷ったことへの回答があるでしょう? 英文解釈もさることながら、この作品は低学年の子供たちが読むものです。こどもの読解力に迎合してやさしくするのではなく、一定の語彙・表記・表現の幅を踏まえながら、子供たちに日本語の正しい発想で読み書きすることを教えなければなりません。いわゆる「翻訳臭」を徹底的に避けます。基本的には、みゅうの母さんの日本語は温かく、すてきな感性を表しています。
- 語りかける作家の姿勢は?ここで翻訳者は「翻訳者」でなく、日本の作家にならなければ駄目でしょうね。参考訳は一案で、他にもいろいろ考えられるところです。この商品の「決め手」になるでしょう。
このほか、原稿のフォーマットについての指示など丁寧なアドバイスをしています。
藤岡先生の参考訳は、A4 一頁に及び、訳文を改訂する際に十分な量の訳例を提示しています。
どうぞみなさん、果敢に挑戦してください。お待ちしております。
編集部記
(第4巻173号)




























