『翻訳と日本の近代』(丸山真男、加藤周一著、岩波新書)。明治16年に出た「訳書読法」(矢野文雄著)の序に、「方今、訳書出版の盛んなるや、その数幾万巻、ただに汗牛充棟のみならざるなり」とあり、明治時代はすでに現代同様、翻訳洪水、翻訳文化の時代だったようです。明治日本も原書主義ではなく翻訳主義が盛んだったのはあらためて驚きです。想像以上に日本近代における翻訳文化到来は早く、影響も大きかった。ついでに言えば、原書で読むより翻訳で読むほうがラジカルになるそうな(何だか判る気もします・・・)。世界の流れの中で日本人が翻訳主義によってどのように知識を吸収してきたかはとても興味深いものがあります。
そして、最近インターネットで話題になっている『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』(水村美苗著、筑摩書房)。「日本の国語教育はまずは日本近代文学を読み継がせるのに主眼を置くべきである。・・・それが「出版語」が確立されたときの文章だからである。・・・日本近代文学を読む習慣さえつければ、近代以前の日本語へさえも朧気に通じる。・・・具体的には、翻訳や詩歌も含めた日本近代文学の古典を次々と読ませる・・・」。これは翻訳家にとっても日本語作法習得として不可欠ではないでしょうか。
「翻訳主義の日本」、「日本近代文学の日本語の重要性」に対して、各執筆人と共に、本誌も微力ながら貢献できれば・・・、WEBマガジン『出版翻訳』は、2007年1月刊行以来丸二年となる2009年1月を迎え、今年も、走ります。
子供たちが七、八人、窓辺によって歌っている。少女の、白い顔が窓枠にそうように横になっている。華奢な、それでいて明るい顔。「わたし、起きて坐っていられないの。でも、障害者ではないわ。とても健康なのよ」。これというわけもなく降り立った駅がMugby Junctionだった。そこから七本の路線が走り出ている。その一本一本の先に物語がある。歩けない自分の代わりにその物語を探ってほしい、と少女がいう。――今年は、この『マグビー乗換駅』を翻訳しよう。ディケンズは列車でRugbyを走ったときこの話の構想が浮かんだのかもしれない。赤ちゃんのとき、父親があやまって床に落としてしまった少女が、人生を失った男に新しい生命を与える物語。こうした作品に出会えたなんて、藤岡啓介は幸せ者です。
1976年のカーペンターズのヒット曲I NEED TO BE IN LOVE (青春の輝き)の一節です。若さゆえの悩みをほろ苦く、しかし前向きに歌っている (と私は思っている) 曲なんですが、この歳になってもこの曲を聴くと、上記のフレーズに共感している自分に気づきます。今年もfool enough to think that’s what I’ll findのままで世界に挑み続けようと思います。
私は、毎年、年賀状に和歌と添書きを載せています。今年は、下記のものでした。
歳とりて 若くなりたり デュエットの
声のひびきに 我をわするる
(NHKのアサドラ「だんだん」の双子の歌声に涙がでました。
「今、青春だ、ありがたいことだ」と皆様に感謝しました)
実は、昨年後半から、サン・フレア アカデミーの「特許英訳 PreOJT」クラスの講師となり、若い方々を教えているため、この和歌ができたのかもしれません。
「自分の好きなことをとことん突き詰めてみることだろう」。昨年、ノーベル賞を受賞された益川敏英さんから日本の子どもたちへのメッセージだ。もちろん私のような大人に向けられたものではないが、ふとわが身を振り返ってみると、好きなことよりも「やるべきこと」「やらねばならないこと」でがんじがらめになっているような気がする。
今年はそんな状態から抜け出し、好きなことを思いっきりやってみたい。翻訳はもちろんのこと、好きな本を読み、好きな人と会い、好きな場所へ出かける。きっとわくわくするような一年になるに違いない。
我が家に2匹のネコがやってきました。やけに人なつこいネコたちで、パソコンに向かって作業をしていると、いつもキーボードの上に乗ってきます。せっかく書いた訳文の途中に、ナゾの記号の羅列が挿入されます。普通なら怒り心頭といった状況ですが、やったのがネコだと思うと、頭にくるどころか、つい相手の頭をなでてあげてしまいます。そのまま仕事を中断して、ネコと遊んだりもしてしまいます。2009年の目標はとりあえず、ネコと仕事の両立です。
昨年6月にパートナーと一緒に買った築70年の木造住宅を、現在自分達の手で少しずつリノベーション(改築)中。買った時は「冗談でしょう?」と思った幽霊屋敷も、少しずつモダンな家に生まれ変わってきました。今年中には、古くて暗い台所のダイニングテーブルでパソコンに向かう生活から脱却し、太陽の降り注ぐ書斎で、庭を眺めながら軽やかにキーボードを叩く生活へと華麗なる転換を遂げる予定。生活環境の向上で、エッセイや翻訳の質の向上も目指します。今年はエッセイの中で、オーストラリアの住宅やリノベーションの様子もご紹介したいと思います。『ケアンズ通信』今年もご愛読ください。
チェロ(名前:サー・アルフレッド、『ターミナルマン』の印税で買ったから)のひんまがった駒と波平さんの頭のような弓を交換して、「きらきら星」以外の曲を弾けるようになること。2時間前から外出の準備をはじめるのに必ず遅刻する謎をさぐること。デボンの家に帰ること。去年決まった集英社の本、2冊を訳し終えること。新しい企画を出版社&WEBマガジンに押し売りすること。地図が読めるようになること。たくさんの素敵な本と人、イキモノたちと出会うこと。いっぱい絵も描きます! あ、誰か(条件:(1)生きている、(2)ニンゲン)と恋をすること。そろそろいいよね、ネルちゃん? 今年が素晴らしい一年になりますように。
30代から40代は本当に、ホント、心身ともに忙しかった。家族のことや地域のことを中心に、隙間に語学・翻訳を埋め込んでいく生活、それで24時間365日が回っていました。そして50代。生活リズムは変わったはずなのですが、つい「忙しくて」が口から出ます。パソコンを前に、本を前に、舟をこいでいる時間があるくせに! よーし、今年は「忙しくて」とは言わないゾ! でも積んである本を読んで、部屋の模様替えをして、旅行もしたら…、「忙しい」一年になりそうです。
新しい年、引き続き日本文化・伝統技術に関わりながら多読・速読、そして矛盾しますが精読をモットーとして、言葉のセンスを磨きながら、アジア諸国に対する理解をいっそうと深めて行きたいと思っています。
先年願っていた台湾周遊も果たせぬまま年越ししてしまいましたが、一方タイから蘭花デザインの切手が貼られた便りが届き、ご無沙汰していたフィリピンからも懐かしい友から便りが舞い込んでいます。四半世紀におよんでいる友人知人たちと今年こそ再会出来ないだろうか、願っています。
新しいアメリカ、そしてアジアを訪れ、学び、語り合い、たとえ小さな輪であっても、このわたしの力で美しい輪がいつくも結ばれますように。
米国東海岸での都会暮らしも今年で10年。人種のるつぼの中で、異文化を理解する力や、異なる価値観に対する敏感さも自然と身についた。同時に、自分も人々から理解と協力を得られ、一人前の国際人になったのだろうと実感する。これは非常に嬉しいことであり、人生がますます面白く感じられる。
この喜びを、そして、多種多様な価値観を知ることの利点を、日本の子どもたちに伝えたい。今年は、その実現に向けて、いろいろな価値観を紹介できるような作品を最低一冊は翻訳出版したい。それから、自分でもこれまで温めてきた題材をもとに、子ども向けの本を最低一冊は執筆したい。日本語でも英語でも文章をもっと積極的に書く年にしたい。
新年あけましておめでとうございます。
不安を抱えながら初めて寄稿した第一回「母へ」から、昨年末までに、23編ものエッセイを掲載していただきました。これも、サンフレア・ウェブマガジン関係者の方々と読者の皆さまのお蔭と感謝しております。
人の縁とは不思議なもので、エッセイを掲載していただいたことによって、いく人かの方との新しい出会いがありました。私は今、その方たちと知り合えたことに深く感謝しています。
今年も、人や社会の有り様に目をむけた面白いエッセイを書くことができたらと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
あけましておめでとうございます。
今年楽しみにしているのは、
- まず、拙訳で刊行が始まるガース・ニクスのファンタジー全七巻、『王国の鍵』シリーズがどんな装幀になるか。でも、その前にちゃんと翻訳を終わらせなければ……。
- 次に、『原田勝の部屋』のインタビュー。過去三回のインタビューはとてもおもしろく、自分のためにもなりました、今年もまたやりたいですね。
- 三つ目は、去年ガタガタになってしまった浦和レッズの逆襲。新しく来たドイツ人監督は若手を積極的に使うらしいので、それも楽しみ。
職を失い、働く場も、住む家もなくした気の毒な人たちがあふれる不景気な今日この頃、長年培った技を駆使して翻訳という仕事を続けられるのは、これ以上ない幸せ、そう思って、後期高齢者の入口がすぐそこまで来ている今年も、老骨に鞭打って頑張りたいと思っています。
まずは昨年から持ち越しとなっている、世界の歴史を変えた50の出来事を綴った翻訳書、今年の初めには出版されるものと期待しています。
In Scotland, we have a tradition of First-Footing. This means that your first visitor of the year brings good luck to your home. I hope that your home is filled with warmth, happiness and love for 2009!! Here is my お年玉 Enjoy!
仕事でも、人との関係でも、翻訳でも、嫌なことはしない。
無理なことは考えない。
大事にしたいことは大事にする。
そんなふうに、素直にシンプルにやっていけるとよいです。
あとは、壁にぶつかっても逃げないこと、でしょうか。
正月に、友人が贈ってくれたDVD『紳竜の研究 [DVD]』を見ました。80年代初期の頃の島田紳助と松本竜介の漫才を集めたDVDです。あのふたりが早々と解散したのは、「解散できるほど充填して徹底的に全身全霊で漫才をした」からだとわかりました。私も、もっともっと徹底して、アイン・ランドに付き合わないと、彼女を卒業できません。前向きに解散できません!
去年は、勤務先から研究休暇をもらい、アイン・ランドの翻訳や論文書きに終始しました。2009年は職場に戻りながらも、「全身全霊」やります。ランドの最初の中編小説の翻訳を勝手に進行させます。
昨年は、「翻訳出版企画書を出版社に持ち込む」という第一関門をクリアーしました。残念ながらまだ企画は実を結んではいませんが、今年はさらに良書の発掘に励み、自分の惚れこんだ本が編集者の方の目にとまり、翻訳出版契約成立を実現させたいと心から願っています。また、翻訳とは無関係ですが車の運転技術を向上させ、路上で他のドライバーのみなさんにご迷惑をかける回数を減らしていきたいと、痛切に願っております・・・。
昨年は体調をくずしてしまい、ほとんど何もできなかったので、今年はいろいろなことをしたいと思っています。
心ゆくまで本を読み、友達に会い、美術館巡りをして……それから旅行、できれば久しぶりに海外へ。
WEBマガジン『出版翻訳』のデザインを担当し一年が過ぎました。昨年は読者の皆様から暖かいメッセージをいただく機会が多く大変嬉しい一年となりました。今年はさらに見やすい誌面デザインの作成に努めていきたいと考えています。
好き・嫌いの激しい私ですが、今年は「嫌いや苦手なことに進んで挑戦し、自分の物にする」を目標に頑張っていきます。
今年も皆様よろしくお願いいたします。
社会人になって、配属先一覧に「会話型言語開発プロジェクト」というのがありました。
コンピュータに向かって話しかけると、「鉄腕アトム」みたいに返事してくれる・・・そうした勘違いから、40年も経ちました。
人間は、3歳の子供だって言葉を理解するようになる。そのメカニズムは・・・何千年も前の文献だって解読しているのだから、・・・時間がかかるかもしれないけれど、絶対に何かある、と信じながら「翻訳道場」のサポートを行いながら、出来の悪い機械翻訳を育てています。
『上機嫌の作法』齋藤孝著より。いろいろあっても、これで行きます!
WEBマガジン『出版翻訳』の編集に携わるようになって2度目の新年を迎えました。
2007年10月に初めて藤岡先生にお会いして、幸いなことに非常に丁寧に編集作業についてご指導いただくことが出来、どうにかこうにかここまでつないでまいりました。
毎号、毎号、掲載記事から刺激を受け続け、直接お会いする方々はもちろん、メールベースでご連絡させていただく方々も含め、出会ったすべてのみなさまから知的感動をいただき、今日に至るまで、実りの多い日々を過ごしてまいりました。
これまで得てきた多くの収穫の中でも、もっとも大きなものの1つは、僭越ながら編集者(のはしくれ)の目で、翻訳本をじっくり読む習慣が出来たことでした。もし、一般読者としての視点しかもっていなければ、ここまでじっくり読むことはなかったのではないかと思いながら、多くの翻訳本を読みました。特に、当マガジン執筆者による翻訳になると、想いは違ったものになります。そういった貴重な経験を、ただ漫然と「よかった、ためになった、おもしろかった」と締めくくるのではなく、今年は読書日記をつけることにしました。1年後に振り返るのが今から楽しみです。
2009年正月 執筆者からのメッセージ




























