『WEBマガジン 出版翻訳』も、誕生して丸一年になります。世の中、世界も日本も、少しもいいことがなくて、さて年賀状だと「お慶び申し上げます」の言葉が浮かんでも、なにか空々しい思いがします。でも、皆さん、本誌の誕生はどうでしょう。目出度いかぎりではありませんか。
はじまりは、藤岡が個人的に主宰していた鎌倉翻訳勉強会の皆さんの応援と執筆、それから少しずつ輪が広がり、編集者、翻訳者の先輩である原田勝、藤森かよこ、秋林哲也、平松南、岡地栄の皆さんの寄稿があって、2008年は、まだ誕生したてと甘えてはいられません。いよいよ「翻訳家・エッセイストの登竜門」としての期待に応える内容にしていかなければなりません。
ここに寄せられたメッセージをごらんください。日本の翻訳出版界はすばらしいですね。ご本人がボツにしましたが「今年こそ遊ぶゾ」という宣言もありました。そう、ゆとりある翻訳心で翻訳しなければ、良訳は生まれません。ゆとりと緊張、いいな、これで今年は走ります。サンフレアの濱口優子さんが伴走してくれます。
2008年は、4月から1年間、怒涛の教育サーヴィス労働の現場から戦線離脱します。「研究休暇」をいただくのです。白内障手術後の眼と脳と肉体を、さらに酷使します。翻訳します。勉強します。アイン・ランド研究をまとめます。2009年4月以降は、もっと過酷な労働が確実に私を待ち構えています。2008年は、世界情勢なんかどうでもいいです。日本の未来も知りません。ひたすらひたすらアイン・ランドです。
パソコンに向かって翻訳していると、頭にも体にも血が巡って熱くなります。それはそれは快感! そしてそれが活字になって本になると、もう有頂天(すぐ怖くなりますが)! しばらくご無沙汰だった「快感」と「有頂天」を味わうための準備をしたいと思います。そのために、仕入れと営業、自分のメンテナンスにしっかり時間をかけます。この三年間翻訳以外のことをしていて、やっぱり私は翻訳が好き!と実感しました。
どこか知らないところに行きたいとずっと思っていました。でも、遠くに行くばかりが旅ではないとも思います。たとえば、人との関わりのなかで、日常生活のなかで、小さな旅のようなものを感じられたら、どうでしょう。旅先で感じる温かさや、旅先だからこそ築ける関係など、そのようなものを身近に感じられたら、今まで気づけなかったことが見えてきそうです。そして、少しずつ何かが変わっていくかもしれない、と思えてきます。
一日、一日をきちんと過ごすこと。日々の積み重ね。
今まさに「第九の怒涛」乗り越えぬ
イノチの底の果て無きチカラぞ
大いなるこんじきの鳥まなかひに
汝(な)が幸浴みてのぞみの園に
「涛」とは「校正しないで納めよう」と思う欲心です。その「涛」に打克つ時、インスピレーションの「鳥」が訪れます。校正を重ねて行く時、原著者と同じ心になって楽園に入れます。
暮れに、レジオンドヌール勲章を授与されたカナダの医学者と会食する機会がありました。30歳年下の中国人の恋人を伴っての来日、世界中に弟子がいて、話す言葉は5ヶ国語を下らず、ワインが回るころには、アルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩を口ずさむ……。うーん、知性と教養に裏打ちされた魅力的な人でした。今年もすてきな出会いを求めてなるべく外に出ようと思っています。どうぞよろしく。
久しぶりに机の引き出しを整理していたら、子供の頃の宝箱に小石が入っているのに気づいた。宝箱に入っているのだから、大切だったに違いないのだけど、なぜ大切だったのかはまったく思い出せなかった。ひとつ、つまんで見たけれど、そこらに転がっている普通の石だった。すべての思い出がこんな風につまめるようだったらいいのに。ぼくはそのとき、ビリー・ジェイルのアンド・ソー・イット・ゴーズを思い出していた。
これまでも、結局、自分は、自分自身では翻訳者にはなれないけれど、翻訳という事業に、それもあらゆる言語、あらゆる分野の言語サービスに、関心を持ち、それに携わり続けてきたのだなあ、そして、これからもそうしていくのだろうなあと、あらためて考えたのでした。今年も、世界中の言語/あらゆる業界・分野・媒体において、「翻訳」という切り口で、事業を展開してまいります。
『源氏物語』が世に出て一千年の2008年、せめて現代語訳で読み通せたら……。そして、歌舞伎や文楽、能や狂言の舞台を鑑賞し、伝統的工芸品の現場を見学し、その道の専門家の話を伺い、日本語や日本文化に向き合う時間を充実させられたら……とても素敵です。また、台湾周遊旅行をし、故宮博物院、台中、台南、花蓮、高雄を訪れようと計画しています。2009年を迎える時、何を願い、計画しているか、今から楽しみにしています。
「今年中にキューバをテーマにしたノンフィクションを書く!」と意気込んでいたものの、あっという間に2008年……予想以上に時間がかかり半泣き状態です。文章を書くって本当に難しい。だからこそ、やりがいもありますね。
情報が溢れる現代、「しあわせとは何なのか」がわかりづらくなりました。日本の将来も、はっきりいって不安です。そういう部分に突っ込んでいける内容にするつもりです。今年も引き続き頑張ります!
万年遅読症の私が掲げる今年の目標、それは読書量の増加そして読書スピードのアップに尽きます。具体的な数値目標としては、和書を一ヶ月に六冊、洋書は一ヶ月に二冊――翻訳家を目指すならこれではまだまだ不充分なのでしょうが、まずはなんとか自分にできそうなところから。そして読んだ書物の中から私の『一生を捧げられる作家』を見つけられればと願っています。
ここ数ヶ月の間に・・・、デジカメを無くした。新しいのを買って、とても気にいっている。縦列駐車をしようとして、後ろの車にぶつかった。謝って、車に傷もなかったので、「どうしてクラクションを大きく鳴らさなかったのか」と問うた。アメリカ人女性は無言で去った。大好きな眼鏡を無くした。長い間使っていなかった眼鏡が輝いて見える。人生いろいろあるが、明るく生きようと努めている。新年おめでとうございます!
今年はフランス語と日本語でもっとたくさんの本を読みたいと思っております。また機会がございましたら、エッセイにも挑戦してみたいと思っております。翻訳も頑張って、運よく契約を交わすことができ、本が出版され、皆様の後に続ける日を夢見ております。もし夢が叶ったなら、やっぱりフランスを旅して回りたいです。今年は特に、私の頭の中は夢や希望で満ち溢れております。本年もよろしくお願い申し上げます。
WEBマガジン「出版翻訳」もめでたく二年目を迎えることができました。これも多くの読者の方々のご支援の賜物と厚く御礼申しあげます。
本年度はさらに読者の皆様の真に役立つマガジンとして、さらに新しい企画を検討中です。本年度は、読者の投稿欄に、皆様の本誌に対するご要望をドシドシおよせいただき、さらに充実したコンテンツをご提供していくことをめざしてまいります。
2007年10月から『WEBマガジン出版翻訳』に関わるようになりました。誌上で出会った翻訳家の方々、読ませていただいたエッセイの数々、そしてたくさんの本、すべてが知的刺激に満ち溢れています。
2008年はより多くの読者に『WEBマガジン出版翻訳』が届くよう、いろいろなことを考えていきたいと思います。まずは「美しいWEBマガジン」をめざして、表紙のデザインを季節感あふれるものにしていきます。そして多くの読者がアクセスしやすいサイトの構築(つまりは読みやすい紙面づくり)をめざしていきます。個人的には、ワーク・ライフ・バランスを大切に、仕事も生活も美しくしたいと思いつつ、現実にはどちらにも追われる日々だろうなぁ、と。
みなさま、今年もよろしくお願いいたします。
2008年正月 執筆者からのメッセージ




























