4. 書籍出版流通におけるコードとデータベースについて
今年よく売れた翻訳書とその傾向
07年もあとわずか。そこで今年、良く売れた翻訳書はどんなタイトルか、主だったジャンルを調べてみました。
やっぱりそうだろうなというタイトルもあれば、そうだったのかと初めて知るタイトルもありまして、興味深いものがあります。価格表示は定価。なお、上位からのランキングではありません。売れている目安ととらえていただければ幸いです。
■ ビジネス書
一瞬で自分を変える法 世界No.1カリスマコーチが教える
A.ロビンズ 著/本田健 訳/三笠書房
なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?
パコ・ムーロ 著/坂東智子 訳/ゴマブックス
金持ち父さん貧乏父さん
R.キヨサキ他 著/白根美保子 訳/筑摩書房
チャンスがやってくる15の習慣
L.ギブリン 著/渋井真帆 訳/ダイヤモンド社
3週間続ければ一生が変わる(Part2)
R.シャーマ 著/北澤和彦 訳/海竜社
成功はゴミ箱の中にレイ・クロック自伝
R.クロック/ロバート・アンダーソン 著/
野地秩嘉 監修・構成/野崎稚恵 訳/プ レジデント社
人を動かす新装版
D.カーネギー 著/口 博 訳/創元社
金持ち父さんの起業する前に読む本
R.キヨサキ他 著/白根美保子 訳/筑摩書房
金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント
R.キヨサキ他 著/白根美保子 訳/筑摩書房
自分の小さな「箱」から脱出する方法
アービンジャー・イン 著/森重樹 監修/冨永星 訳/大和書房
ビジネス書で売れているのは自己啓発書ばかりです。『一瞬で自分を変える法』は全世界で1300万部突破のベストセラー、評判どおり日本でも売れました。『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』はスペインのビジネス書。短い寓話で、経営者やマネジャーの抱える問題の本質を示しています。
自己啓発書の多くは、「自分が変わらなければ回りも変わらない、問題は解決しない」というもの。ビジネスマンの抱える問題は全世界共通のようです。もうひとつは、「目標を定めてモチベーションをいかに持続させるか」です。それには日常のよい習慣を身につけなければならない、として様々な本が刊行されヒットしているわけです。
07年の和書ビジネス書のトップは、『「1日30分」を続けなさい! 人生勝利の勉強法55』(古市幸雄著/マガジンハウス)。売れる傾向は翻訳書とまったく同じです。
驚くのは、2000年に刊行されミリオンセラーとなった『金持ち父さん貧乏父さん』のシリーズがいまなお売れ続けていること。16点ありますが、新刊既刊とも好調です。最も売れているのは最初の『金持ち父さん貧乏父さん』。老後のお金を考える人たちに買われているのだと思います。
■ 海外文学(単行本)
グレート・ギャツビー
S.フィッツジェラルド 著/村上春樹 訳/中央公論新社
365日のベッドタイム・ストーリー
世界の童話・神話・おとぎ話から現代のちょっと 変わったお話まで
C.アリソン 編著/高橋啓 訳/飛鳥新社
星の王子さま
サンテグジュペリ 著/池澤夏樹 訳/集英社
青空のむこう
A.シアラー 著/金原瑞人 訳/求龍堂
もう一日 for one more day
M.アルボム 著/小田島則子・小田島恒志 訳/日本放送出版協会
牙は甘くささやく
S.メイヤー 著/小原亜美 訳/ソニーマガジンズ
わたしを離さないで
カズオ・イシグロ 著/土屋政雄 訳/早川書房
スパイガール
A.カーター 著/橋本 恵 訳/理論社
『グレート・ギャツビー』は村上春樹さんの訳だけに注目度が高く、ダントツの売れ行きでした。『365日のベッドタイム・ストーリー』は05年刊で、発行部数は現在7万部。2,940円と値段の高い本ですが、お母さん方がこどもの読み聞かせ用として、今年急速に売れ行きがアップしました。『星の王子さま』は05年刊、『青空のむこう』は02年刊で、ロングセラーとなっています。『もう一日』は全米No.1ベストセラーというふれこみでしたが、いまひとつ伸び悩んだようです。『牙は甘くささやく』はラブ&ブラッド!ヴァンパイア・ロマンス・シリーズ全7作品の第4作。シリーズ全体がコンスタントに売れています。吸血鬼と転向してきた高校生の少女との恋の物語で、日本流の表紙やイラストが利いて若い人に人気です。
■ 海外文学(文庫)
ハンニバル・ライジング(上・下)
T.ハリス 著/高見 浩 訳/新潮文庫
星の王子さま
S.テグジュペリ 著/河野万里子 訳/新潮文庫
デセプション・ポイント( 上・下)
D.ブラウン 著/越前敏弥 訳/角川文庫
パイレーツ・オブ・カリビアンワールド・エンド
T.エリオット他 脚本/鈴木玲子 ノベライズ/竹書房文庫
捜査官ガラーノ
P.コーンウェル 著/相原真理子 訳/講談社文庫
ダ・ヴィンチ・コード(上・中・下)
D.ブラウン 著/越前敏弥 訳/角川文庫
天使と悪魔(上・中・下)
D.ブラウン 著/越前敏弥 訳/角川文庫
傷痕(上・下)
C.マクファディン 著/長島水際 訳/ソニーマガジンズ
星の王子さま
S.テグジュペリ 著/池澤夏樹 訳/集英社文庫
香水ある人殺しの物語
P.ジュースキント 著/池内 紀 訳/文春文庫
文庫は映画がらみで売れるケースがほとんど。また、それをきっかけに作者のファンになるというパターンのようです。
『ハンニバル・ライジング』は人気映画シリーズの最新作。07年4月映画公開。最初の『羊たちの沈黙』は91年のアカデミー賞で数々の賞を受賞。『星の王子さま』は新潮文庫版、集英社文庫版とも人気があります。『ダ・ヴィンチ・コード』の大ヒットで、D.ブラウンの作品はいずれも大ヒット。映画が大ヒットし、第3作目が公開された『パイレーツ・オブ・カリビアンワールド・エンド』も全2作とともに好調です。『傷痕』のC.マクファディンはいまアメリカで大人気の作家。
■ 絵本
はらぺこあおむし(ボードブック)
エリック・カール 著/もり ひさし 訳/偕成社
はらぺこあおむし
エリック・カール 著/もり ひさし 訳/偕成社
サンタクロース
W.ウイック 著/糸井重里 訳/小学館
ペネロペようちえんへいく
A.グットマン 著/ひがしかずこ 訳/岩崎書店
不思議の国のアリス
ルイス・キャロル 原作/ロバート・サブダ さく/わくはじめ訳/大日本絵画
てぶくろ
エウゲーニー・M・ラチョフ 絵/うちだりさこ 訳/福音館書店
オウエンとムゼイ
クレイグ・ハトコフ他 著/ベッキー 訳/日本放送出版協会
ぼくのパパはおおおとこせかいいちのパパがいるひと みんなに
カール・ノラック 文/イングリッド・ゴドン 絵/いずみちほこ 訳/セーラー出版
絵本の売れ筋の中心はロングセラーですが、幼児向けのボードブックやさがしもの絵本、しかけ絵本など、娯楽的要素の高いものが主流です。また、「ペネロペ」シリーズのようにここ数年で人気を確立したものもあります。男の子を対象にパパを主題にした『ぼくのパパはおおおとこ』の人気も目立ちました。
『はらぺこあおむし』2点は人気が高く、本編は30年来のロングセラー。10年前に出たボードブックも高い人気を保っています。『サンタクロース』は、さがしもの絵本「チャレンジ・ミッケ」シリーズ全4冊のうちの第4作目。ミッケシリーズは全部で8冊刊行され、いずれも良好な売れ行きです。
『ペネロペようちえんへいく』はしかけ絵本。ペネロペはかわいいコアラの女の子。「ペネロペ」シリーズ(全23冊)はフランスの絵本の翻訳で、2004年からおはなし絵本やしかけ絵本など、さまざまな形で刊行されていて高い人気を博しています。
とびだすしかけ絵本の最高傑作といわれる『不思議の国のアリス』(04年刊)は3,990円と高額な商品ながらよく売れています。いま版元では在庫切れ。しかけ絵本は作るのに時間がかかるのだそうです。『オウエンとムゼイ』は、スマトラ沖地震の津波がアフリカ・ケニアに及び、両親を失った赤ちゃんカバのオウエンと、おじいさんゾウカメのムゼイの絆の強さを綴った感動のノンフィクション。ニューヨークタイムズの絵本部門ベストセラー第1位で、タレントのベッキーさんの訳ということでも注目度は高かったようです
■ ファンタジー
ハリー・ポッターと謎のプリンス(上・下)
J.K.ローリング 著/松岡佑子 訳/静山社
ベック (デモナータ 4)
D.シャン著/橋本 恵 訳/田口智子 絵/小学館
赤の妖精ルビー (レインボーマジック 1)
D.メドウズ 著/田内 志文 訳/ゴマブックス
オオカミと氷の魔法使い(マジック・ツリーハウス 18)
M.P.オズボーン 著/食野雅子 訳/メディアファクトリー
おねがいごとを、いってみて! (ランプの精リトル*ジーニー 1)
M.ジョーンズ 著/宮坂宏美 訳/サトウユカ 画/ポプラ社
沈黙の森 (デルトラ・クエスト 1)
E.ロッダ 著/岡田好恵 訳/岩崎書店
翻訳ファンタジーものはシリーズで読まれています。ハリー・ポッターシリーズは言わずもがなですが、依然として人気があります。『ダレン・シャン』(全12巻)で人気を確立したD.シャン氏の新作「デモナータ」シリーズも強力。「レインボーマジック」シリーズはイギリスで大人気の女の子向けファンタジー。売れ行きがよいのは第1巻。1巻目から読み出している新しい読者が多いと思われます。
「マジック・ツリーハウス」シリーズは全21冊。全世界で7000万部、日本でも200万部を超えているといわれます。男子女子とも低学年から読めるのが人気。原作本の絵を使わず、日本のマンガ調の絵を使っていることが読者の親近感を誘っているようです。
「ランプの精リトル*ジーニー」シリーズは全6冊。小学中学年の女の子には、“魔法”“見た目のかわいさ”が満載という本が受ける、という狙いで刊行された本。女の子向けのニーズの高まりに狙いを定めたことは見事に当たったようです。
「デルトラ・クエスト」シリーズは男の子に人気のシリーズ。
「デルトラ・クエスト」全8巻、「デルトラ・クエストⅡ」全3巻、「デルトラ・クエストⅢ」全4巻、計15巻で シリーズ合計450万部を突破したといわれます。これも1巻目からよく売れています。
ファンタジーものの人気が相変わらず高いのは、小・中・高校で実施されている「朝の読書」活動の普及拡大が背景にあります。面白い続き読み物のニーズが強まっていて、各社は翻訳ファンタジーを次々と刊行していますが、外国で人気の作品は日本でもヒットする確率は高いといえそうです。このところの傾向は、女の子向けのものが増えたことと、日本の子どもたちに受け入れやすいように、日本のマンガ調の絵を配した工夫がみられること。それが毎年生まれる新しい読者を惹きつけていると思われます。




























