入門翻訳勝ち抜き道場

WEBマガジン 編集後記

編集後記

初登場、ドイツ語翻訳者・通訳者、たかおまゆみさんの「ハイジだけじゃない、ヨハンナ・シュピリ!」、お楽しみいただけましたでしょうか。

たかおさん翻訳の『カチャ・クルマン ―― 産まないって、決めたわけじゃなくて…』(カチャ・クルマン著、新水社)は、30代のドイツ人女性のお話。ドイツ版『アリー・myラブ』、または、ドイツ版『ブリジット・ジョーンズの日記』、あるいは、ドイツ版『負け犬の遠吠え』とも言える、先進各国三十路女性共通の悩みを、軽妙な語り口で取り上げた本です。たかおさんが「訳者あとがき」で触れている、内閣府男女共同参画会議に所属 していたことから受けた取材で「女はもっとたくさん働いて、かつ、子どももしっかり産んで育てろって言われているみたい」と取材者が言ってた話。同様に感じたことのある女性は多いですよね、きっと。さらに、「ありあまる選択肢を手にした32歳のカチャ・クルマン」という表現もすごくわかります。現代女性は、専業主婦になることもでき、子どもを持たず仕事に打ち込むこともでき、働きながら育児することもでき、あらゆる選択肢の中で迷いながら生きています。本書の中で「仕事のキャリアも積みたい、子どもも欲しい ―― 産んだ子を大きくなるまで自分で育てたいという思いさえある――」というところがあるのですが、先日、偶然お会いしたドイツ在住の日本人ドイツ語翻訳者さんも言っていました。「ドイツ人は、母親が子どもを育てる、という意識が強い。一方、フランス人は、子どもは神の子、と思っているので人に預けることが平気だ」と。

それにしても、たかおさんご提供の写真「アルプからの眺め」と「アルプスの夕焼け」、なんて美しいのでしょう。生であの光景を目にしたら、きっと「ハイジごっこ」をしてしまうんだろうなぁ。「おじいさーん」、「ハイジー」と。いやいや、ハイジだけではありません。「わたしの新訳」で、たかおさんによるシュピリ新訳を近々ご紹介いたします。みなさま、どうぞお楽しみに!(Y.H.)


2009年11月2日号