ボローニヤの国際ブックフェアに行くと、多くの国の人たちに会うことになります。ということは、多くの言語に接することにもなります。
私が出かけた頃の資料を見ると、1つのホールに10か国から30か国、4つのホールでは60か国以上、約950の出版社が参加しています。ボローニヤというせいで共通の資料はイタリア語と英語で書かれていますが、各ブースの中に展示されている本は、それぞれの国の言語と文字で書かれています。
ここのブックフェアは「国際児童書展」ですから、フランクフルトと違い子供向けの絵本なども多く、絵だけでもわかるものもありますが、イラン・フィンランド・ハンガリーなどの出版社になると、大きなタイトル文字も読めません。
日本が参加しているホールには30か国、300社あまりの出版社が入っており、それが社名のアルファベット順に軒を並べています。日本のAkane書房の隣りにはプラハのAlbatros社、ベルリンのAltberline社、ミラノのAMS社といった具合で、日本語・チェコ語・ドイツ語・イタリア語というわけです。
私たちに同行した人は渡辺和雄さんという人でした。知っている方もおられると思いますが、高田馬場にある「文流」というイタリア関係のエージェントの専務という肩書きをもっていました。社長の西村暢夫さんは小学館の『伊和中辞典』の編者の一人です。「文流」はまた高田馬場と池袋にレストランも経営していて、本格的なイタリア料理店の草分けとしても有名です。高田馬場の店の奥の部屋、金の背文字のぶ厚い洋書が書棚にぎっしりと並んでいる書斎のような一室で、ワインを飲みながらイタリア料理を食べたことのある方も、「洋書の森」会員の中にはおられることでしょう。
レストラン文流は、年に何回かイタリアのレストランから名の知られたシェフを招いて特別なメニューを作るような行事も開催していましたから、イタリアのレストランには顔が利きました。フィレンツェの「サバティーニ」に行ったときなど、シェフらが大歓迎をしてくれて、店の一角を貸切にして次々に珍しいメニューを披露して運んできたものです。
フィレンツェがかつて隆盛だった時代、世界中のうまいものに食べ飽きた貴族たちが、最後はやはりこれだ、と選んだのは、仔牛の肉に塩胡椒をふって炭火で焙ったものと、それにキャンティ・ワインという素朴で平凡なものだった、という話があります。
前回のリストランテCantunzeinも渡辺さんの案内だったし、他にボローニヤでは有名なNERINAとか、Don Chisciotte e Sancio Panzaというリストランテにも行きました。どうしてイタリアのボローニヤに「ドン・キホーテとサンチョ・パンザ」なのでしょうね。でも古都にふさわしい格調のあるレストランでした。
さて、肝心の渡辺和雄さんについては、このつぎに――。





























