British Women Novelists ~WEBサイト「英国女流作家探索」~
「英国女流作家探索(http://www.geocities.jp/british_women_novelists/)」というサイトをご存知でしょうか。80名近いイギリスの女流作家のプロフィールが掲載されているサイトで、管理人は「さくら*んぼ」こと福島裕子さんです。「立ち上げて、はや5年が経ちました。こんな風に改めて言葉にしてみると、もう5年!と驚いてしまいます。5年の月日という価値に見合うサイトになっているのかどうか、不安を覚えてきますが、そこは訪問者の方々の判断に委ねるしかありませんね」という福島さんの、サイト立ち上げのきっかけから今後の展望など、出版翻訳者にとっても役立つ情報源となることを期待して、ご紹介します。
きっかけは「ショコラ」
思い返してみれば、このサイトとのお付き合いの始まりは、「ショコラ」との出会いからでした。大学の文学部に入学して、英米文学作品を数多く読みたいと意欲に満ち溢れていた頃でした。「美味しそうなタイトルやなぁ」なんて思い、なんとなく手にしたのがジョアン・ハリス著『ショコラ』でした。ちょっと運命的なものを感じます。特に空腹なわけではなかったと思いますが、グルメなタイトルの作品にはなぜか手が伸びてしまうんですよね。
『ショコラ』は映画化されたこともあり、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。とある田舎村にやってきた母娘が、チョコレートの魔法で村に幸福をもたらすお話です。作品を覆う甘くてほろ苦い雰囲気と、ほんのりファンタジックな世界観に惹かれました。これは原語でも読まなければと、洋書も買いました。今までに私が、訳書・原書両方を読みたいと思った作品は5冊にも満たないのですが、その中でも『ショコラ』は、私の最も愛する作品となったのです。
この本がきっかけで、もっとイギリス文学の作品を読みたいと強く思うようになりました。幼い頃に読んだ『メアリー・ポピンズ』にも共通する、現実なのにどこかファンタジーめいた世界に浸りたいと思ったのです。また、正義と悪が明快でないという、ロンドンの曇り空のようにもやもやとした読後感。ですが、今の自分では理解しきれないことがまだ隠されているのではないかと考えてしまうのです。だからこそ、数年後にまた読もうという気にさせてくれます。そのような味わい深いイギリスの作品たちを知りたい、そして、やはり私自身が女性であるので、同性が書く作品を数多く読みたいとも思ったのでした。
そこでいざ、イギリス女流作家の作品を手に取ろうとしたものの、なかなか見つかりません。というのも、作家名からでは英米だけでなく、性別すら判断がつかないことも多々あったからです(ジョージ・エリオットのように明らかに男性名の場合もありますが、私が名前で男女を区別できるほど英語に長けていなかったことが主な原因です)。そこで、インターネットが普及し始めていた当時、Web上にはあらゆる情報があると考えていた私は、イギリスの女流作家について検索してみました。ところが、英米というカテゴリーで分類されているサイトは見受けられても、性別までは明記されていないことが多いのです。文章中に「彼女」という単語が使われていれば女性、というような安易な判断しかできませんでした。それならば、自分でサイトを作ってしまおうと思い立ったのです。イギリスの女流文学を探したい人に有益なサイト、そのような検索をかける人が私以外にどのくらい存在しているのか、甚だ疑問ではありました。ですが、自らの学習記録にもなるし、公開することでモチベーションの維持にもつながる、と一石二鳥じゃないですか。誰かのためというよりは、私自身のために「英国女流作家探索」は誕生しました。
サイト作成の障壁は、知識不足と資金不足
サイトの作成は、生易しいものでは到底ありませんでした。なにしろ、私はHTMLが一体何なのかすら知らなかった程、超初心者だったのですから。にも拘わらず、HP作成用ソフトを使わず自分で一から作ろうというのですから、大変でした。初心者向けにHTMLの基本を紹介してあるサイトを参考にして、毎日パソコンに向かいました。今から思えば、本当に学習意欲が旺盛な学生だったと自分でも感心するくらいです。
とにかく、これで外枠の方はなんとか乗り越えられましたが、問題は中身です。こちらの方が重要です。イギリスの女流作家に関する日本語の書籍は極めて少なく、すぐに底をついてしまいました。英語の書籍は手に入りづらいので、次に参考にしたのが英語のサイトでした。辞書を片手に作家の経歴や作品を調べては訳し、自分のサイトを更新するという繰返しでした。(おかげで、英語読解力のいい訓練となりました。)この時期のサイト更新頻度は、今からでは考えられないほど多かったものです。今の私は、昔の私をちょっと見習った方がいいですね。
もう1つ、サイト作成において苦労したのが経済的問題でした。学生時代は、時間は有り余っていますが金銭的余裕が全くありません。時間がかかってでもなるべく出費の少ない作成方法をとるようにしました。HTMLの参考書代すら惜しんで、参考サイトのみで作り上げました。文学関係の参考書も、大学や市の図書館の蔵書だけを使用し、作品の方は図書館の揃い踏みが乏しいため古本屋へ頻繁に立ち寄り、サイトで取り上げている作家を見つけては買い集めていました。こうして、労力は相当つぎ込まれていますが、費用はほとんどかかっていないサイトとなったのです。
今後の展望
そうして5年が経ち、現在では一定のアクセスを得られているようで、運営の方もおかげさまで安定しています。立上げ当初はとにかく掲載作家数を増やそうと、「質」より「量」重視で作ってきました。ですが作家数は今や80名を超え、多くの方たちの目に触れることを考えると、質の方の充実を図っていかなければならないと思っている今日この頃です。より正確な情報を提供し、中身の濃いサイト作りを今後5年間の目標に掲げていこうと思っています。最終的に目指すところとしては、「英国女流作家探索」が、イギリス女流文学情報源の代名詞と目される、辞書のようなサイトになることです。随分と大それた目標で、このように文章にするのも恥ずかしいくらいですが。私の気持ちは、繰り返し読むたびに味わいを増していく英文学の奥深さと魅力を多くの方に感じてもらい、英文学好きが増えてほしいということだけです。
私の好きな作家
最後に、私の好きな作家について少し書いておこうと思います。サイトで取りあげている作家の中で私のお気に入りは2人、ジョアン・ハリスとサラ・ウォーターズです。
ハリスは先に述べたとおり、作品の世界観が好きなのです。現実世界を描いているけれど、どこか不思議な力が存在している。その魅力をうまく表現できませんが、なぜか私の感覚にしっくりとくるのです。もう1人のウォーターズは、初めて『茨の城』を読んだときに、あまりにリアルな描写に体が震えたことを覚えています。この2人の作品は全て読破したいですし、できれば原書でも読みたいと思っているほどに好きなんです。
最後にもう1人、作家というよりは作品を取り上げたいのが、ダフネ・デュ・モーリアの『レベッカ』です。
主人公の気持ちにあまりにも共感してしまい、作品の世界にどっぷりと浸ってしまいました。彼女の他の作品はサスペンス色が強いものが多くてあまり読みたいとは思わないため、好きな作家とまでは言えないのですが、作品としては私の中でベストに輝くほどに好きです。






























