WEB マガジン『出版翻訳』は、2007年1月に刊行して以来、翻訳業界をはじめとする各界でご活躍の執筆者のみなさまと、月平均 4000 名を超える読者さまに支えられてきました。今後も、当マガジンは進化し続けます。ここで、原点に立ち返り、創刊編集長・藤岡啓介の刊行の辞を、改めてご紹介します。(2008年10月)
刊行の辞――創刊編集長 藤岡啓介
なにが「出版翻訳」なのか。新しい言葉です。最近まで出版界に「出版翻訳」という言葉も、「翻訳出版」という言葉もありませんでした。1995年をインターネット元年として、その前後からWEBサイトを媒体として、翻訳者養成をビジネスとする企業が、大衆性をもたせて生み出した言葉です。外国で出版された本を翻訳して出版することであれば、「翻訳書出版」で、これならわが国の出版界が営々として築きあげてきた文化でありビジネスで、こと新しい言葉は必要なかったのですが、「出版翻訳」で括るべき状況が生まれ、現在では「出版翻訳」は立派に市民権を得た言葉になっています。そして、この言葉の持つ意味合いは、たんに翻訳書を出版するだけでなく、翻訳者を養成することを意味しています。
これまで翻訳は、とくに文芸書のばあい、外国語を習得したごく限られた、専門的な知識をもった大学教授などの手でおこなわれていましたが、出版文化の発展にともない、フィクション、ノンフィクションなど出版物の対象ジャンルと出版点数が飛躍的に増大し、ついに翻訳を専門とする翻訳者の需要が高まり、必然的に、その翻訳者を教育して養成するビジネスが誕生したのです。
こうしたなかで、本誌は微力ながら、
- 「これが翻訳への環境づくり——翻訳の鑑賞力を培う」
- 「これが翻訳者に求められる資質——翻訳は個性の表現」
- 「これが翻訳者の自己鍛錬——問われるのは日本語の語彙と表現力」
- 「これが翻訳書出版のあり方——翻訳者と編集者の共同作業で良書が生まれる」
これらを、連続講義、エッセイ、新訳掲載、翻訳批評、海外情報など、さまざまなスタイルでとりあげ考え、主張していこうと考えています。翻訳者だけでなく、広く編集者、出版コーディネーター、版権エイジェンシーの皆さんにも、ぜひともご覧いただきたく願っています。


























