~翻訳以前、本を知る楽しみ~
公開講座―プロになるぞ!! の藤岡啓介先生のいいぐせに「それは翻訳以前の問題だ」という言葉があります。
でも、その翻訳以前とは、いったいどういう状態なのか?
このブログは、お昼寝の先生の枕頭をおしゃべり雀がさえずりまわりああだこうだ
それは読書論でもあり、文章論、翻訳論でもあります
【この質問に答える】では、本文中に登場する短い英文の翻訳を受け付けております。お寄せいただいたなかから、
藤岡先生が選んだ優秀作を選出、誌面で発表します。選ばれた方には\500のアマゾンギフト券を進呈します。みなさま、是非、ご参加下さい!
桜井則子、武者修行で苦闘しています
ここ一年ほどアンソニー・トロロープの「自伝」の翻訳に取り組んでいる。
本国イギリスでは根強い人気のあるビクトリア時代の作家で、郵政省役人と作家という二つの職業を驚くべき体力と勤勉さで見事にこなし、郵便ポストの考案者とも言われている人物だ。私も実は藤岡先生に紹介していただくまで知らなかったのだが、本人が
I will set down naught in malice. ―― シェイクスピア『オセロ』より
(このシェイクスピアの引用句、あなだだったらどう訳しますか? 回答の評価は藤岡先生がしてくださいます。【この質問に答える】※この質問は締め切りました)
と文中に書いている自伝を読んでみると、その少年時代のつらい体験がその後の彼の人生にどんな影響を与えたかが目の前で展開していく、実に興味深い作品である。
また彼の母親Fanny Trollopeも大変な女性作家で、五十歳で一家の経済危機を救うため初めて筆をとった肝っ玉母さんである(“Domestic Manners of The Americans”)。
今、私が訳しているのは、トロロープが自分の母について書いた章であるが、この二人は、けっこう似た者親子なのである。トロロープの気持ちに近づきたくて、母子関係がどんなだったかを想像することが多い日々であり、以下の物語は自伝の中に出てくる場面をepisodeとして紹介してよう。
ああ、藤岡先生から、「全訳を公開していいぞ!」という言葉をいただきたいのだが …… 先生、わたしのたどたどしい訳を読むのも嫌になっているようです。あきらめないぞ!
《episode one》
道でばったり会った校長先生が僕を呼びとめた。まるで雷様みたに怖い顔で眉をひそめている。
「お前のようにみっともない汚い子供のお陰で、われらがハロー校の名がけがされるとは、いったい何の因果だ、許し難い」
突然、大声が雷鳴のように頭上に落ちてきた。
訳していて、これがビクトリア時代か、と「ヒッ」と思った。何が起こったか考えてはいけないような気がした。たしかに彼は汚い。みっともない。それに家は他の寄宿生達のところみたいに金持ちじゃない。でも両親は立派な人たちだ。それに彼の父親は弁護士で、雷校長なんか頭からバリバリ食べちゃうぐらい怖いし、母さんはその父さんを丸めてお団子にしちゃうぐらいすごい烈女なんだぞ。訳者はアンソニーといっしょにこんなことを考えながら家に帰っていったのだが。
(原文は次の通り。桜井訳でいいでしょうか? 【この質問に答える】※この質問は締め切りました)
Dr. Butler, the head master, stopping me in the street, and asking me, with all the clouds of Jove upon his brow, and all the thunder in his voice, whether it was possible that Harrow school was disgraced by so disreputably dirty a little boy as I !
(第4巻140号)




























